今回の記事は、
- 「ヘイトクライム」って一体なに?
- 実際にはどんな事が起こっているの?
- ヘイトクライムが多発している地域で暮らしていて怖くないの?
と思っているあなたに向けて、
実際にアジア人へ対するヘイトクライムが起こっているニューヨークで暮らしている私が、
ヘイトクライムとは何か、どのような事が起こっていてそれに対してどのような対策をしているのかを紹介します。
- ヘイトクライムとは?
- 今回ニューヨークで実際に起きたヘイトクライムの事例
- ヘイトクライムへの対策
- ヘイトクライムが多発しているニューヨークで暮らしながら思うこと
今回の記事を読む事で、ヘイトクライムに対する理解を深められます。
ヘイトクライムは、多民族で形成されているアメリカが昔からずっと持ち続けてきた問題なんだ
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ヘイトクライムとは?
ヘイトクライムとは?
まずは、「ヘイトクライムとは一体何なのか?」をその言葉の意味から理解してみましょう。
このように英語の意味を見ると、ヘイトクライムとは、憎悪や嫌悪感から引き起こされる犯罪のことを言うのかなという予想が出来ます。
しかしここでしっかりと理解しておくべき点は、このような「相手を憎む気持ち」が、
その人との個人的な関係性などから来るものではなく、人種・宗教・性的指向・障害などその人が属しているグループに対する嫌悪感や偏見から来るという点です。
- あなたがアジア人だから
- あなたがイスラム教だから
- あなたが性的マイノリティだから
という理由で、差別や暴行、そして時には命を奪ってしまうような犯罪が起こるのですが、これをヘイトクライムと言います。
他の国に比べて、多様性を認めようという運動が盛んなアメリカで、真逆の行動であるヘイトクライムが多発しているんだね
ヘイトクライムとは、人種、民族、宗教、性的指向などに係る、特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる、嫌がらせ、脅迫、暴行等の犯罪行為を指す。
出典:ウィキペディア
今回、アメリカで多発したヘイトクライムの原因
アメリカでのヘイトクライムは、今に始まったことではありません。
黒人、イスラム教、性的マイノリティ、アジア人と攻撃する対象を変えながらずっと続いてきたことです。
最近はニュースにもよく取り上げられるようになったため、アジア人に対するヘイトクライムが認知され始めましたが、その前からもアジア人に対する差別やヘイトクライムは存在していました。
では、なぜ最近になってアジア人に対するヘイトクライムが注目を浴びているのかな?
2020年に発表された、憎悪・過激主義研究所のレポートによると、アメリカの16個の大都市を対象として調べた結果、
2019年に比べ2020年には、ヘイトクライムの発生件数が7%減少しているのに対し、アジア系に対するヘイトクライムの発生件数は149%増加したという結果が出されました。
また、コロナが流行して沢山の犠牲者が出た3月~4月に、ヘイトクライムが最も多かったと発表しています。
この結果を見ても、最近起こっているアジア人に対するヘイトクライムがコロナに関連していることが分かります。
- コロナが中国の武漢から世界へと広まったと考えられているから
- 未知のウイルス・死に対する恐怖
- 経済的困窮
このような状況の中で怒りの矛先がアジア人に向けられた結果、アジア人に対するヘイトクライムが急増しました。
外国人から見たら中国人も韓国人も日本人もみんな区別がつかないから、ひとまとめにアジア系が狙われたんだね
アメリカで生活し5年が経ちますが、実際にヘイトクライムや差別を受けた事はありません。
コロナがアメリカで流行し始め、アジア系に対するヘイトクライムが多発しているというニュースを見てから外に出る時はいつも注意を払っていますが、幸いにも事故に巻き込まれたり目撃したことはありません。
一緒に働いている人も、日本にいる家族の安否を気遣ってくれたりとむしろ優しさが目立ちます。
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今回アメリカで実際に起こったヘイトクライムの事例
ここでは、ヘイトクライムの対策を紹介する前に実際に今回ニューヨークで起こったヘイトクライムの事例を何件か紹介します。
事例を見る事で、どのような状況でどのような事件が起こったのかを確認でき、自分を守るためにはどのような行動を取るべきかを考えられます。
日にち | 場所 | 被害者 | 起こった内容 |
---|---|---|---|
2021年2月 2:00pm | Flushing | 50代女性 | 歩いていたら強く押されて地面に叩きつけられた |
2021年5月 7:45 am | Queens | 30代男性 | 地下鉄駅で後ろから押されて線路に落ちかけた |
2021年5月 6:00 pm | Chinatown | 50代女性 | 歩いていたら前方から顔面を殴りつけられた |
2021年6月 4:00pm | East NY | 50代男性 | 自転車に乗っていたら後ろからナイフで刺された |
何十件も起きている中の4件だけを紹介しましたが、このように見ても
ヘイトクライムが、ランダムに人を狙い、場所や時間帯に関係なく、周囲に人がいる状況でも突然起こっているのが分かります。
ヘイトクライムは、個人的な関係上の恨みから来るものではないから正直防ぎようがないのだけれど、そのような中でも何が出来るのかを考えてみよう!
ヘイトクライムへの対策
アメリカ領事館が勧めているヘイトクライムへの対策
在留邦人の皆さまにおかれましては、犯罪発生率の高い地区を訪れたり、深夜の一人歩き等の危険を招きやすい行動は可能な限り避けていただき、また、危険に対して事前に警戒を高める必要がある場合には、帽子やフードの着用等により、外見の露出を減らす等の予防策を講じ、未然に危険を回避するようにお願いします。また、不審な場所や人物を感じた場合には、速やかにその場から離れる、相手を刺激しない等、ご自身の安全を守る行動を優先するように心掛けてください。
出典:在ニューヨーク日本国総領事館
ニューヨークに住んでいる方は、在ニューヨーク日本国総領事館の「緊急メール/総領事館からのお知らせ」に登録する事で、
ニューヨークで起こっているテロ、大規模事故や自然災害の発生、感染症対策等、緊急事態の際の各種安全情報をメールで受け取ることが出来ます。
私が行っているヘイトクライムへの対策
- 外出時には帽子とマスクで顔の見える範囲を狭くする
- 外ではいつも自分の身の回りに注意を払う
- 歩く時は速足で歩く
- 地下鉄駅内では線路に近い所に立たない
- 地下鉄の車両に乗り込む前に窓から中を確認する
- 安心できる人の近くにいる(ナース服を着た人・アジア系の人・ラテン系の人)
実際には、特に気にせずいつも通りに行動している人がほとんどだよ
ニューヨークで行われているヘイトクライム被害に対する支援
- ニューヨーク市の人権サイト(NYC Human Rights) “Stop Asian Hate”
- アジア系に対するヘイトクライムを受けた時に通報できる
- ヘイトクライムに対するデモなどの情報を確認出来る
- 自分が持っている権利に関する教育を受けられる
- 犯罪を未然に防ぐために自分で出来ることを学べる
- 地下鉄駅内に配置される警察官の増員
- ボランティアによる見回り
- safewalksnyc
- アジア系の人たちが安心してニューヨーク市内を行動できるよう、ボランティアの人が目的地まで一緒に歩いてくれるサービス
- サービスの要請・ボランティアの登録・寄付はこちらのページで行えます
どんな物にも良い面もあれば悪い面もあるように、アメリカという国も両面を持っています。
銃社会・差別・凶悪犯罪多発国家などと様々な大きな問題点を持っている国ではありますが、困っている人がいたら助けようとする人が多いのもアメリカです。
今まで外国人としてアメリカに住みながら、差別より人から助けられた経験の方が多かったです。
ヘイトクライムに関する事件だけが報道されやすいですが、このようなボランティアの方たちも沢山いるという事は知っておきたい事実ですね。
アメリカの場合、悪い面で挙げた銃社会・差別・凶悪犯罪などは、命と直結する内容だからどうしても大きく感じちゃうよね。。。
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ヘイトクライムが多発している地域で暮らしながら思う事
まず最初に思う事は、日本はとても安全な国だという事です。
毎朝、誰かから襲われるかもしれないという命の危険を感じながら仕事に向かうのは、精神的に追い詰められます。
このような心配なく安心して外を自由に出歩ける日本は、本当にありがたい環境なのだと再確認しました。
また、外国で住んでいると「自分の身は自分で守る」という気構えを持つようになります。
護身術を習ったりするわけではありませんが、最大限犯罪に巻き込まれないように注意を払うようになりました。
次に、自分がヘイトクライムの被害にあうグループに属するようになり、今まで被害にあっていた人への理解が深まり、また、支えてくれる人のありがたさが身に沁みるようになりました。
今までは、ニュースを通してのみヘイトクライムの事件を見てきましたが、
今回の事で911テロが起こった当時アメリカに住んでいたイスラム教の人たちが、また長い間差別を受けてきた黒人の方がどのような環境でどんなに怖い思いをしながら生活してきたのかを考えさせられました。
拳銃の怖さを頭では分かっていても、銃口を実際に突き付けられるまでは、その怖さを感情では分からないように、本当の意味で理解するのはその当事者になるまではなかなか難しいことですね。
だからこそ、ボランティアとしてアジア系の人たちをサポートしてくれる人たちを尊敬し、見習いたいと思うようになり、また当事者が声を上げることがいかに重要かを学びました。
ボランティアの人たちのように、当事者になる前に関心を持ちサポートできる人になれたら素晴らしいよね!
また、自分が今まで虐げられてきたから次は他の人にそのうっぷんを晴らそうなどとは間違っても思ってはいけないね
ヘイトクライムとは? まとめ
今回の記事では、アメリカで最近起こっているアジア系の人に対するヘイトクライムに関する情報を紹介しました。
- ヘイトクライムとは、人種・宗教・性的指向・障害などその人が属しているグループに対する嫌悪感や偏見から来る犯罪行為を指す
- 最近アメリカで起こっているアジア人に対するヘイトクライムは、コロナに関連している
- ヘイトクライムは、ランダムに人を狙い、場所や時間帯に関係なく、周囲に人がいる状況でも突然起こっている
- アジア系の人を守ろうというボランティアの人たちも沢山いる
最近の世の中では、健康で安全に暮らせることがどれほど幸せな事か分かりません。
私も、日々の生活で1つ1つに感謝しながら暮らして行く事を心掛けたいと思います。
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こんにちは、BoneyB(ボニービー)です